日本酒ができるまで
日本酒は、我が国の気候風土と文化と伝統が育てた世界に誇る民族の酒です。
麹の酵素が、お米のデンプンを糖分に変え(糖化)、
清酒酵母が糖分をアルコールに変える(醗酵)という
世界に類を見ない大変複雑な並行複醗酵形式によって、醸造されるお酒です。
「一に麹、二に酉元(もと)、三に造り」といわれる日本酒はどのようにして造られるのでしょう。
ここではその工程を紹介します。
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精米
酒造りは、先ず玄米を精米することから始まります。
吟醸酒系は40~55%、
純米酒系は60%、
本醸造酒系は65%まで削ります。
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洗米
米についたタンパク質を洗います。
その後、吸水率を見ながら浸漬します。
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蒸米
精米、洗米・浸漬した白米を蒸してゆきます。
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麹造り
蒸した米に、種麹をつけ育成させます。
これは麹と呼ばれ、米のデンプンを糖分へ変える糖化の働きや、アルコール醗酵を促す役割をします。
麹造りは、多くの場合「麹室」と呼ばれる専用の部屋で行われます。
室内の温度はほぼ30度以上、湿度は60%以下に保たれています。
この状態が、最も麹の酵素が培養されやすい理想の環境なのです。
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酒母作り
蒸米、水、麹ができあがると、
これに酵母を加えて「もろみ」を醗酵させます。日本酒には酵母が大量に必要となり、
この酵母を大量に培養したものが酒母となります。日本酒造りには、良い酵母が欠かせません。
ですから、酒母とは文字通り「酒の母」と言えるのです。
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段仕込み(もろみ造り)
日本酒の仕込みは三段階。初日に仕込むのが「初添え」、
二日目は仕込みを休み酵母を増やす「踊り」、
三日目に二度目の仕込みをすることを「仲添え」といい、
四日目に最後の仕込み「留添え」をして仕込みは完了します。
この仕込みが行われるタンクの中で酒母、麹、蒸米が混ざり合い、次第に泡立ってきた液体が「もろみ」です。
三段仕込みは酵母を増やし、「もろみ」を安全かつ健全に育成するほか、「もろみ」の温度管理をしやすくするための先人の知恵なのです。
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上槽(搾り)
醗酵が終了し、熟成した「もろみ」から生酒を搾り出します。
搾る方法は日本酒の種類によって様々。
自動圧搾機で搾る場合もあれば、昔ながらの槽搾りや袋吊りといった手作業での搾りを行う場合もあります。
ここで「もろみ」は、生酒と酒粕に分離されます。
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ろ過・火入れ・貯蔵
搾りたての酒は、ろ過、過熱により殺菌処理するため、火入れという作業を経て貯蔵されます。
貯蔵することで酒は熟成し、味が調和するのです。
火入れは、
フランスのパストゥールが発見したパストリゼーション(低温殺菌法)より、200年も前に日本酒の醸造では行われてきた殺菌法です。
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米が日本酒になるまでには、このように複雑な工程を経ています。
永井本家では、日々至高の一滴を生み出す為にたゆまぬ努力を続けています。